住む・暮らす

くらしかた・すまいかた

Vol. 09:中筋出作の家02

『デザイン』の持つ力

庭と和室の間をつなぐ縁側には、和が感じられるしつらえ。
和室のしつらえ。自然素材を多用し、落ち着く空間となっている。
○環境共生住宅に暮らし始めて、住まいに対する考え方や感覚の変化を感じることはありましたか。

直之さん: たぶん彼女は、本人が意識してというより、自然に変わっていってると思います。
前は若者らしく、木のものを使おうとはせず、鉄とか樹脂とかのものばかりを選んでました。
今は自然と木のものを選ぶようになってきました。 彼女が「アロマ」って言い出したっていうのは革命に近い(笑)。

美穂さん: 隣にある実家に住んでいた時は、お部屋に入れるスペースも無いし、 雰囲気も合わなかったんで、緑を入れようとは思わなかったんですね。でもこの家は部屋が広いし、緑を入れたほうが見栄えが良くなると感じて、 小さいですけれど部屋の中に緑を置くようになりました。
そしたら次はもっと大きい観葉植物も置きたくなって(笑)。
そう考えるとやっぱり意識というか、好みが変わりましたね。
生活の中に自然なものを置きたい、という点が、一番大きい意識の変化かもしれません。

○家のつくりが住む人の感覚に大きな影響を与えるということですね。

美穂さん:  そう思いました。

直之さん: 人となりは変わると思います。私は和室に置く盆栽が欲しくなりました。

美穂さん: 家の中から見える緑ということで、庭もこだわりを持って設計しました。
リビング・ダイニングの前庭は洋なんですよ。和室側は和で。
外からみたら1つの庭なのに、家の中の見る場所によっていろんなタイプの庭が楽しめるという、ちょっと変わった感じが気に入っています。

直之さん: 今のエコロジーって単に省エネって言ってるだけじゃなくて、結構なんでもスタイリッシュになってきているんでね、エコロジーを選択していくと自然とかっこ良くなったりするし、かっこ良くしようと思ったら勝手にとエコロジーになってたりします。

『見える化』がエコと暮らしをつなぐ

キッチンに設置された太陽光発電の発電モニター。発電量の他、売電量・買電量や家の中の使用電力量も一目でわかる。
発電モニターを介することで、楽しみながら省エネ活動ができる。
○これから家を建てたいと考えている人が自分の身近にいたら、環境共生住宅をオススメしますか。

美穂さん: しますね。

○どんなふうにオススメすると、環境共生住宅のよさが伝わりやすいと思いますか?

美穂さん: こういうところが良かったよとか、価格はもちろんなんですけど、使い勝手なんかを具体的にアドバイスしてあげると参考にしやすいですよね。
最終的に決めるのは本人だし、私も結局は自分の意見を通しましたけど、やっぱり人から頂いたいろいろなアドバイスはとても参考になりましたから。

直之さん: 自分でオススメするなら「省エネ効果が高い」というメリットを、目に見える形で示すと思います。
初めは若干費用がかかるのでローン組む場合は無理出来ないでしょうけど、ある程度余裕があるのであれば、ランニングコストはかなり安くできますから。
断熱性が高い遮熱ペアガラスを選んだ分、冷暖房費も安くなるというように、長い目で見て物の金額をどう見るかという視点も重要なんですよ、と。
あとは「意識付け」というのも大きいところで、階段室の上に付けた太陽光発電システムのパワーコンディショナーを朝起きて下に降りて行くときとか、何かしら見ちゃうんですね。
それから台所にある発電モニターも良く見ます。

美穂さん: 美穂さん:二人ともけっこうチェックしてますね。

直之さん: モニターは発電中しか表示しないようになっているんです。ムダな電力にならないように、ってことだと思うんですけど。
帰って来たらわざわざ見に行ってしまう位。動いていたら「おお、頑張っているな。」とか(笑)。

美穂さん: 「発電したかな。」とかね(笑)。

○数字などで具体的な指標を示されたほうが、使う方も目安にしやすいということでしょうか。

直之さん: そうですね。どれだけ得したかよりも、どれだけムダがあるかのほうが、こっちの行動としては節約のほうに向いてると思いますね。

美穂さん: 今これだけ付けてたらどれだけ消費してるかな、見に行ってこれくらい。とかね。
目に見えてわかることって重要なんだと実感しています。

○今日は貴重なお話しをありがとうございました。

※本インタビューは2006年に行ったものです。

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