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Vol. 011:羽根木エコハウス01

地球と同居する家「エコハウス」を建てるまで

図1  羽根木エコハウスの自然エネルギー活用システム
○小林さんがお書きになった「エコハウス私論」を読ませていただきました。まずお聞きしたいのは、『環境共生住宅』と、この本で言われている『エコハウス』とは、イコールと考えてよろしいでしょうか?

中身は同じようなものだと思います。呼び名がどうであれ、地球の生態系の一部になれるようなことを、家を建てる中でも意識して行うことが大事なんではないでしょうか。ちなみに、建てた当時、私は『環境共生住宅』という言葉を知りませんでした。(設計は1999年)

○どういった経緯で、ご自身でエコハウスを建てることになったのでしょうか。

両親が高齢化してきたこともあり、実家を取り壊して、2世帯住宅を建てて同居することになったというのが契機でした。
どんな家を建てるかにあたり、自分の仕事(現、環境省総合環境政策局局長)を通して常々感じてきたことを実践する機会がやってきたことに気づきました。つまり「地球と同居できる家」を建てるチャンスが巡ってきたわけです。

○「地球と同居できる家」が「エコハウス」なんですね。

そうです。常々感じていたことというのは、人間は地球に住まわせてもらっているのに、その地球を壊しつつあることで、その根底には、人間から「他の生き物たちと一緒にこの地球で暮らしている」という感覚が欠落しているという問題がある。「人間は地球と同居していて、それを忘れてはいませんか?」と、自分の家を建てる以前から、仕事の中で使っていたこの言葉を実現するもの、形として表したものが「エコハウス」なんです。

エコハウスでのこだわり

○ご自宅としてエコハウスを建てるにあたって、一番重視したのは、どんな点だったのでしょうか?

エコハウスというと、太陽光発電のように、どんな設備機器を選ぶかに目が向きがちですが、基礎体力というか、建物の躯体性能そのものをしっかり作ることが重要です。頑丈で長持ちして、熱環境が良い家というのは、それだけで環境性能が高い家なんだと思います。
逆に基本的な性能が整っていない家にいくら効率の高い省エネ設備を導入しても、意味がない。だからわが家の場合は、基礎や構造がしっかりしていること、断熱性能が高いこと、気密性に優れ、素材は処理に困らない成分・工法でできているものや自然素材を中心に選ぶことを「基礎体力」と捉え、まずはそこを充実させました。

○その他の環境対策はどういった理由で選ばれたのでしょうか。

まず自然エネルギー、その中でも特に大容量で、効率の良い「太陽の熱」を利用したかったんです。うちの場合、OMソーラー協会に属する工務店に施工をお願いすることになっていたので、まあ自動的に太陽熱利用が最優先になりました。
OMソーラーというのは、空気を主な熱媒体にした自然エネルギーによる床暖房と太陽熱温水器の複合システムです。(図1)

それから、太陽光パネルも設置しています。定番ですね。一般の家庭で使われるエネルギーの約半分(自動車分除く)が電気です。CO2排出量にすると約4割で、これが太陽光発電でまかなえれば、CO2排出量も削減できます。それに災害などで電気の供給が止まった場合の非常用電源としても自立運転できますし、晴れていれば、という前提付きですが、使うことができます。

実は南側の屋根にOMソーラーの集熱パネルが乗ることになっていて、太陽光発電パネルを置くのが北側の屋根と、条件が制限されていたのですが、年間で大体1300kw/hを出し、換算すると140kgの二酸化炭素が削減できることになるということで採用しました。他の取り組みでこんなに削減量が稼げるものはありません。

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