住む・暮らす

くらしかた・すまいかた

Vol. 010:内田邸02

岩手ならではの森林資源を活かした住まい

○先ほど「豊かな森林資源を活かした家を建てたかった。」とお話されていましたが、具体的にはどんな形で実現されたのですか。

内田さん: 岩手県の少し北にある岩泉町の製材所の方と個人的にお付き合いがあり、この家の着工8ヶ月ぐらい前に、「秋ぐらいに建てるんだけれども1棟分取っておいてくれないか。」とお願いし、ご快諾いただけたんです。おかげで、天然乾燥ですがまずまず乾燥した材を準備することができました。もちろん、人工乾燥の材と比べればバラツキもあるんですが。これは私の個人的な関係で出来たことで、一般的なやり方とは違っていると思いますが、ご参考まで。

○柱、壁、床など使いたい材と部位のイメージは、製材所にお願いした時からお持ちだったんでしょうか?

内田さん: そうですね、樹種については私たちは最初から、土台には栗を、柱には杉を、梁とか桁には赤松材を使いたいという希望があり、細かくは製材所の方と相談しながら決めていきました。
基本的には当初の構成どおりで(一部違うところもありますが)、建てています。
土台に栗、横架材に赤松を使うなんて贅沢だ、と感じられるかもしれませんが、実は、栗も赤松も岩手では非常に生産量の多い樹種で、当たり前に流通しているものですから、別に銘木趣味という訳ではありませんよ、念のため(笑)。

薪を使う暮らし方

南側の窓の下には冬期のための薪が積まれている。2mもある軒下はこのように薪を置く場所になるほか、夏の間のダイニングとして利用されている。
リビングに設けられた薪ストーブ。基本的にはこれ一台で家中の暖房を賄っている。このストーブの側に椅子を置き、冬の晴れた雪景色を大きな窓から眺めるのが、冬ならではの内田家の過ごし方だそう。
○暖房に使っている薪ストーブの薪は、どういった形で購入されているんでしょうか。

村上さん: 仕入れ方法はいくつかあります。ひとつはここを建ててくれた工務店さんが申込者を5、6人募って、6トントラック1台でどんと、2メートルぐらいの丸太を買ってみんなで分け、あとは自分たちで切って割る。庭の木を剪定した方からいただいてくるっていうのもけっこうあります。あとはリンゴ農家から。リンゴってときどき木を切って更新してやる必要があるので、こちらが木を切ってさしあげる代わりに、切ったものをもらって帰ってくる。これは割合としてはそれほど多くないですけど。リンゴの木って、ねじくれてて割りにくいんですよ。

○冬に使う薪は、夏のうちに割っておくんですか?

村上さん: この冬じゃなくて来年の冬のために、今年の夏には割って軒下に置いておくんです。最初は分からなかったんですけど、薪が湿っていると燃えないし、すすが一杯出ちゃうので、かなり乾かさないと駄目なんです。1年前に切って軒下に置いておくなんて、反対に湿気りそうですが、長く置くと、木の中の水分は徐々にぬけていくんですよ。

内田さん: そういった意味で屋根のかかる薪置き場を増やしたいんです。

村上さん: 足りると思ったんですけど。2年分置いておかないといけないので。積んでいくとかなりの高さになるということもだんだん分かってきました。

内田さん: 電気とかガスは姿が見えないんで、自分たちがどれだけ沢山燃料を使っているか実感しにくいんですけど、薪の場合はよくわかります。使った分が目に見えて減っていくんで。最初の年は、10月に目いっぱい積んでおいた薪が、2月頃になると、もうこれしか残ってないの?というほど、どんどん減っていきました。エネルギーを使っているんだなと実感しましたね。

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