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kkj 特集~環境共生住宅と水害

水害に備えたまちづくり

水害リスクの発生を抑えながら、発生時の水害に備えた「レジリエンス(resilience/しなやかさ・回復する力)な住まい・まち」にしていくために、河川施設や下水道事業による取り組みの強化の他にどのような方法があるでしょうか。
この章では、現在進められている国の政策を中心とした情報を紹介していきます。

流域治水への転換

気候変動の影響により、近年の水災害による被害は甚大化・頻発化しています。国は従来の想定値に基づいて作られてきた施設能力を超過する洪水が発生することを前提に、社会全体で洪水に備える水防災意識社会の再構築を一歩進め、気候変動の影響や社会状況の変化などを踏まえ、あらゆる関係者が協働して流域全体で行う、流域治水への転換を推進し、防災・減災が主流となる社会を目指しています。

出典:国立研究開発法人 建築研究所 EpistulaVol.85(発行:2021.7),「流域治水」の施策のイメージ(国土交通省・社会資本整備審議会資料より)

生態系を活用した防災・減災への取り組み「Eco-DRR」

近年、気候変動の影響により、世界中で自然災害の甚大化・頻発化が進んでいます。さらに地域の持続可能な開発や自然環境保全に対する関心の高まりを背景に、生態系が有する機能を生かした防災・減災(Ecosystem based Disaster Risk Reduction: Eco-DRR)が国際的に注目を集めています。
生態系を活用しながら防災・減災を行うという考え方は、日本では古くから海岸林を造成したり、明治以降、山地災害を防止する目的で保安林を指定したり遊水地を造成したりという形で実施してきました。
Eco-DRRの推進は、「第五次環境基本計画」(平成30年4月)や「生物多様性国家戦略2023-2030」(令和5年3月31日閣議決定)をはじめ、各種計画に位置づけられています。
環境省では、Eco-DRRの地域実装に向けた取り組みを推進するため、「持続可能な地域づくりのための生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の手引き」を作成・公開しています。

出典:環境省「持続可能な地域づくりのための生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の手引きの概要」

関連情報

タイトル 事業主体 概要
持続可能な地域づくりのための生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の手引き 事業主体: 環境省 概要: 自然災害に対するレジリエントな地域づくりと生物多様性の保全の両立に貢献し、地域の社会・経済的な発展にも寄与する取り組みであるEco- DRR(エコディーアールアール、Ecosystem-based Disaster Risk Reduction:生態系を活用した防災・減災)を進めるにあたって、活用できる情報やその活用方法などを示したもの。
生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の基礎情報 事業主体: 環境省 自然環境局 概要: 生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR: Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)の推進のため、Eco-DRRのポテンシャルがあると考えられる場所を可視化する「生態系保全・再生ポテンシャルマップ」を作成するために必要な基礎情報のダウンロード可能なデータを掲載しています。
生態系を活用した防災・減災に関する考え方(参考事例) 事業主体: 環境省 概要: 地域で生態系を活用した防災・減災を進めていくためには、関係者の理解が進むとともに、優良な取り組み事例に関する情報が広く共有されることも重要です。生態系を活用した防災・減災の考え方や具体的事例をわかりやすくまとめたもの。

グリーンインフラ

グリーンインフラとは、社会資本整備や土地利用などのハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取り組みです。
CO2吸収源対策、自然災害の頻発・激甚化への対応、健康でゆとりある生活空間の形成、SDGsに沿った環境と経済の好循環に資するまちづくりなど、多面的な地域課題の解決を図る観点からグリーンインフラの推進が期待されています。
令和4年の4月に、環境省、国土交通省、農林水産省の3省が協力して作成した「グリーンインフラ支援制度集」が公開されました。掲載されている支援制度は実際にさまざまな地域で活用され、グリーンインフラの取り組み拡大に貢献しています。

水害と共生する

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