水の惑星「地球」の水資源
水道(みずみち)を考えた家づくり

都市部において、降った雨はすみやかに雨水管を通り、遠くの川や海へと運ばれて行きます。
そして生活に必要な水は、遠くの山に降った雨を運び利用しています。
自分の家のまわりに降った雨を活かすことはできないのでしょうか?
水の道を考えた家づくりについて、少し例をあげながら見ていきましょう。


降った雨の行方
日本で一番過密している都市といえば「東京23区」。下の図を見てください。東京都23区内の土地利用面積の割合を「雨を受けることのできる広さ」として考えると、7割くらいが建物まわりであることがわかります。


現在、降った雨はすみやかに管を辿って、都市の外に流しています。これは都市型の洪水と戦い、人々の生活や財産を守ろうとしてきた治水対策の歴史の証でもあります。しかし、大きな水循環というサイクルの中で考えると、家の周りに降る雨をすべて遠く離れた場所に捨てることが、良いことばかりだとは言えないようです。

それはなぜでしょうか?


ゆっくりと巡る水の道
地球の水循環のサイクルを見てみると、降った雨は、地面に染み込み、植物に吸収され、地表を流れたりしながら、最後には「水蒸気」となって空に戻り、また雨となって地上に降り注ぎます。降った場所から遠く離れた川や海に流れる部分もありますが、かなりの量の雨水は、降ったその場所から空へと戻る仕組みになっています。


もし雨や水蒸気によって行われる大気中の対流現象が、地球上に一切存在しなかったら、
地球の地表面の平均温度は、現在の15度から29度にまで上がってしまうと言います。


建物が建つまえのあなたの敷地は、かつてどんな場所だったのでしょうか?自分の暮らす土地の成り立ちに、ちょっと思いを馳せてみてください。家が建つまえの敷地は、降った雨を大地に、植物に浸透させながら、ゆっくりと多段階的に雨水を返してはいなかったでしょうか?

建物がたったおかでこのバランスが崩れ、その敷地の水循環バランスが崩れてしまったのだとしたら、私たちはもう一度考え直さなくてはいけません。「水の道」つまり水資源の循環を考えた家づくりを行うことで、私たちを支えるこの大きな水の循環のサイクルを守ることができるのです。
 
家の持つ可能性
私たちの暮らす家は、水循環のバランスを崩す要因にしかなり得ないのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。「暮らし」を支える場所だからこそ、家はいろんな可能性を持っているのです。

家の持つ可能性。それは『水の循環〜大気まで返る大きなサイクルを、自分の身近な場所から始めることができる。』という可能性です。あなたの家の屋根素材や樋の構造(雨水管に直接繋げないなど)をちょっと工夫したり、庭に木を植えたり、駐車場を浸透性の素材で作ったり、お風呂の残り水を庭を通して処理するようにしたりなどなど、できることがたくさんあります。

あなたの家と暮らし方には、環境を変える様々な可能性が潜んでいます。


図:雨の建築学・日本建築学会編(北斗出版) を参照

水資源の循環を考えた家づくりを
 
温暖化は多雨をもたらすといわれていますが、それもまんべんなく降るのではなく、局地的な集中豪雨が頻発することになると見られています。
局地的ということは、一方で雨の降らない時期や地域が増えるということ。
原因は、地域降雨に大きな役割を果たしている森林の減少や管理放棄による森林機能の低下であるといいます。

水はめぐっており、大きい循環も、小さい循環も連続した一体のものです。
日本の酸性雨が少なからず中国の影響を受けていたり、エルニーニョが世界的な異常気象と関係があることなどは良く知られていることですが、つまり大気も水も地球を巡っていて、原因と結果が離れすぎていて見えづらいけれど、結局『人の暮らし方』がその「原因」となることが多いのです。

しかし逆に言えば、私たちの暮らし方を見直すことで、水の循環を含めた環境のバランスを良い方向に変えて行くことは可能なのです。

小さい循環が集まって、大きな循環を作り出す。

あなたにもできるちょっとしたこと。
環境と共生する暮らし方。
まずははじめてみませんか?

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水と共に暮らす

参考資料:「雨の建築学」日本建築学会編/北斗出版、「水害の世紀〜日本列島で何が起こっているか」森野実徳監修/日経BP社
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