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| ヨーロッパからの臨時便 第3回 『スイス-ハーレンの集合住宅』 |
今回は、スイスの中世都市、ベルン郊外の森に囲まれた斜面地に立つテラスハウス群をご紹介します。 バス停に降り立ち、美しい森の中の坂道を登ります。森は緑の天蓋に覆われ、きれいに下刈りされ、足下を見ると、色々な樹木の実生苗や野草が広がっていました。道の傍らに数メートルまで山積みにされた間伐材は、この森を美しく、そして多様な生態系を保つためにどれほどの労力をかけているかを実感させます。集合住宅を囲む森は、居住者の共同財産となっているそうです。



建築は、背後に尾根の森を残し、斜面に階段状に建てられています。2階がエントランスと居間、1Fと3Fが寝室になっていて、2Fの居間の前にはルーフガーデンが用意されています。あるお宅のガラス扉からこっそり覗いてみると、ルーフガーデン越しに広がる緑の雲海と空の景色は圧巻でした。こうした建築の完成度の高さも素晴らしいのですが、思いのほか感激したのは、居住者の「住まい方」。それぞれ住戸の入口の扉は好きな色に塗られ、薪をきれいに並べた自作の棚や壁に描かれた茶目っ気たっぷりのテーブルと椅子は本物と見まがうほど。 それぞれ思い思いの方法で、豊かに暮らしている様子が伝わってきます。

 ルーフテラスの下が駐車場になっているところもある。 手前の小さな屋根はガソリンスタンド。

 玄関周りには住民の好みの植物が植えられている。

 いろとりどりの扉。
 本物かと思って近寄ってみたら・・!!
 バレーコートやプール、小さな商店もあり、日常の生活に必要なものはひととおり揃っている。

帰りがけに周辺をうろうろしてみると、ハーレンのデザインを真似たであろう建物があちらこちらにありました。「森に住まう」という思想からは切り離され、建物のスタイルが街中に伝播したような印象です。建物の新しさからすると、ハーレンが出来てこの地域の不動産価値が上がり、次々に集合住宅が建てられた・・・といったところでしょうか。ハーレンのお隣の集合住宅もそのうちのひとつ。私たちが敷地内をキョロキョロしながら歩いていると、2歳くらいの男の子を連れた婦人が、ハーレンの森を指差しながら「ハーレンはここじゃないわよ。あっちなのよ。」と教えてくれました。ハーレンを見てからここに来たと伝えると、「それならよかった」と微笑んで去って行きました。 何気ない婦人のひと言でしたが、この街でのハーレンの存在がどんなものなのかを感じさせるエピソードでした。
★ヨーロッパからの臨時便(3回連載) 特派員:小田部真由美(東京在住のランドスケープデザイナー。サミダレスタジオ主催) 第3回 『スイス-ハーレンの集合住宅』 第2回 『パリーマレ地区』 第1回 『オランダ干拓地とナーセリー訪問』 |
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